キャスティング(鋳造)とは形作られた鋳型に溶解した金属を流し込み、物を作る事です。それではどのような方法で溶解した金属を鋳型に流し込んでいるのでしょうか?ここではその仕事の主役である鋳造機の話をします。鋳造する上で無くてはならない物、それは金属を溶解する容器、いわゆるルツボ(坩堝)です。融点の高い金属を溶解する器なのですから何でも良いという訳にはいきません。素材として、古くは耐熱性に優れた粘土が使われてきましたが、現在ではより耐熱性の求められるプラチナなどの鋳造に用いられるセラミックス系を除けば、およそ黒鉛が主流です。さて黒鉛ですがどんな物質でしょうか?それは皆さんもご存知の鉛筆の芯とほぼ同一の物と考えていただければ結構です。
原始的な鋳造方法といえば粘土で作ったルツボに地金を入れて炉、またはバーナーで溶解し、それを粘土、石膏などで作られたメス型、いわゆる鋳型に注ぎ込むやり方です。確かにそれでも形にはなりますが、自然重力に頼るだけのやり方ではどうしても地金の密度が低くなり、また流入圧力が低いため地金の鋳型への密着性が低く、物の細部まで表現するのが難しくなります。それより何よりかなりの熟練者でないと地金の溶解から鋳込むタイミングをつかむのが難しいでしょう。地金は溶解後、融点を過ぎてからは空気中の酸素と結合して酸化が進みます。そこで発生する不純物、ガス抜けの悪さが、あの地金の表面に現れるやっかいなスの原因になるのです。タイミングが早くても遅すぎても巧くいかないのが鋳造です。また地金の種類、鋳込む容量による鋳型の温度管理も重要になってきますので色々な条件、絡みを考えるとこれがベストだといえるパターンを見つけるのは本当に至難の業です。たとえボタン1つで溶解温度設定してくれる便利な最新型の鋳造機でも最終的に鋳込むタイミングは鋳造技術者の熟練度にかかってくるのです。
もし現在の鋳造機器の代わりを昔ながらの原始的なやり方でやると、きっとこんな感じでしょうか?
まず左足で吹子(ふいご)を踏みながら左手のバーナーでルツボを融点まで熱し溶解します。時折鋳型の温度に気を配りながら、その後タイミングを見て右手のルツボ鋏でルツボをつかんで鋳型に流し込みます。それは大変な作業だと思います。おっとその間にバーナーのガスを止めなくては・・・・

- 地金をルツボに配置後、地金を高周波で溶解し始めます。その後鋳型を鋳造機にセット、鋳造スペースを密閉し真空状態の中、のぞき窓から鋳造タイミングを計りルツボを鋳型と共に回転させてルツボの孔から鋳型へ遠心力を用いて地金を充填します。真空の利点は大気中よりも地金溶解の際、地金の酸化が少なく鋳型内の気体も少ないため抵抗なく地金が鋳込まれやすいと思います。遠心力を利用した鋳造方法は昔ながらの手法ですが地金の締まり具合は近年主力の真空吸引加圧方式以上かもしれません。
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- 密閉性の高い2つのチャンバー内でルツボは上部、鋳型は下部に配置され、チャンバー内を真空にします。その後ヘリウムガスが充填されたチャンバー内で地金を高周波で溶解します。のぞき窓から鋳造タイミングを計り、当社ではルツボの配置された上部チャンバー内に2kgの圧力の窒素ガスで加圧、同時に鋳型が配置された下部のチャンバーからヘリウムガスを吸引、鋳型へ地金を充填します。ヘリウムガスは軽く鋳型に対し気体浸透性が高いため鋳型内からの抜けが良く、より密度の高い精密な製品が鋳造できると思います。
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