象牙ギターパーツ
私たちは1928年、ピアノ用象牙鍵盤の製造から歩みを始め、長年にわたり日本国内はもちろん、世界の有名ピアノブランドへ高品質な象牙製品を提供してきました。この伝統的な加工技術は、現在ではアコースティックギターのナットやサドルなど、音色に直結する重要なパーツにも活かされています。
象牙は、その持ち前の密度と硬さによって、クリアでハリのある高音域と、芯のある低音域を生み出す特性があります。ギターのナットやサドルとして用いた場合、音の立ち上がりや余韻が非常に自然で、演奏表現の幅を広げてくれます。
しかしながら、1989年のCITES(ワシントン条約)の決定により、象牙の国際取引は原則として禁止されました。これにより海外への販売が難しくなり、多くのメーカーが象牙部品の製造から撤退しています。現在市場に流通している象牙はすべて、過去に合法的に取得された在庫品のみであり、その希少性は年々高まっています。
弊社は、「特別国際種事業者」として正式に登録され、種の保存法に則った厳格な管理体制のもと、正規に登録された象牙のみを取り扱っております。信頼できる体制で、安心してお使いいただける製品をお届けしています。
私たちは、象牙の特性を熟知し、それぞれの音の魅力を最大限に引き出すギターパーツをご提供しています。限られた資源に敬意を払いながら、本物の音を追求する方々に最適な製品を届ける。それが、私たちの変わらぬ信念です。
象牙 サドル材・ナット材
中央アフリカ象のハード材を使用したサドル材およびナット材です。ギブソンやマーチンなどのギターに最適な素材です。幅と高さはやや大きめにカットされていますので、用途に応じて調整してご使用いただけます。
特注サイズをご希望の場合は、必要なサイズをお知らせいただければ、お見積りいたします。お気軽にお問い合わせください。また、ギター以外にもヴァイオリンなど、その他の弦楽器用ナット材の製作も承っております。

種類 | 寸法(mm) | 価格 |
---|---|---|
サドル用 | 82×10×2.8 | 4,600 |
82×10×3.5 | 5,400 | |
ナット用 | 45×10×6.0 | 4,000 |
象牙 ブリッジピン
こちらのブリッジピンは、大手楽器店の特注品として製作したもので、過剰生産分を今回特別価格でご提供いたします。

テーパー角 | 首元径 | スリット | 価格 |
---|---|---|---|
3度 | 5.3mm | 有 | 18,000 |
5.3mm | 無 | ||
5.7mm | 有 | ||
5.7mm | 無 | ||
5度 | 5.3mm | 有 | 18,000 |
5.3mm | 無 | ||
5.7mm | 有 | ||
5.7mm | 無 |

テーパー角 | 首元径 | スリット | 価格 |
---|---|---|---|
5度 | 5.3mm | 有 | 25,000 |
購入時の注意点
本製品は楽器店様向けに設計されており、プロのリペアマンによる細かな調整を前提としています。ブリッジピン穴は、弦のテンションによる変形や木材特有の経年劣化の影響で、フィット感が変化する場合がございます。
そのため、ご使用にあたっては必要に応じて調整を行っていただく必要がございます。あらかじめご了承のうえ、ご購入をご検討くださいますようお願い申し上げます。
- 本製品は性質上、割れなどの明らかな破損を除き、返品・返金はお受けいたしかねます。
- 調整の可否やフィット感の違いなどによる返品は対象外となりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
ご自身で調整をされる方へ
弊社のブリッジピンには、製造時に使用した回転センター軸穴がそのまま残されています。この軸穴を利用することで、作業がより効率的になります。ピンヘッドにジュラコン製のブリッジピン保護キャップを取り付け、軸穴を再び回転センターにセットすれば、チャックで固定する際にブリッジピンを傷つけることなく、スムーズかつ精密な微調整が可能です。
ご使用時の注意点としては、チャック爪の接点が保護キャップの切込み部分と重ならないようにしてください。また、弦溝の縁は削れやすいため、作業時は回転数を上げ、平ヤスリやサンドペーパーを貼った平板など、しっかりとした平面が出ている道具を使用して慎重に加工してください。溝付きのピンは加工にリスクを伴うため、刃物の使用はおすすめできません。


手作業での微調整について
定規など平らな板の縁に合わせてサンドペーパーを貼り、ピンの頭を指で摘まんで回しながら研磨、溝の角が特に減りやすいので注意してください。ブリッジピンはテーパー角が命、ピンの頭の付け根に沿ってサンドペーパーをきっちり当て付け根から先まで角度が変わらないように均等に研磨してください。


象牙 ギターピック
象牙製のピックは、日本よりもむしろ海外で長い歴史を持ち、ギターやマンドリンの演奏において、希少で魅力的なアイテムとして親しまれてきました。日本国内では、個人が制作している例はあるものの、市販されているケースは非常に限られているのが現状です。
象牙製ピックの最大の魅力は、ピッキングの強弱によって豊かな音楽表現が可能になり、深みのある音色を引き出せる点にあります。また、弦から伝わる細かな振動がダイレクトに指先に伝わるため、演奏時の感覚をより繊細に感じ取ることができます。
ただし、象牙はしなりが少ない素材であるため、柔らかいタッチを求める方や、ストロークプレイを多用するプレイヤーにはあまり向いていないかもしれません。特に、しなやかな弾き心地を重視される方には、素材の特性をご理解いただいた上でのご検討をおすすめします。
天然素材である象牙は一つひとつ表情が異なるため、同じ質感や音色を再現することは非常に難しく、弊社でも全く同一のピックを制作することはできません。本商品は、象牙ピック特有の質感と演奏感を体験していただくことを目的に製作しており、仕様の変更や特注対応は承っておりません。あらかじめご了承ください。

種類 | 価格 |
---|---|
ティアドロップ型 | 2,500 |
ジャズ型 | 2,500 |
ピック用板材 | 2,000 |
ギターピックの作り方






- 補足
- ※1 切断面の仕上げに粒度#120。厚みのエッジの最終仕上げに粒度#1000のサンドペーパーを使うと作業性と仕上げのクオリティが高まります。
- ※2 厚みの調整の際に、滑って押さえにくいときは、水で濡らしたタオルを用意して手を湿らせてから作業をすると滑りにくいです。また、抑える力の加わる部分が薄くなるので、時折押さえる位置をずらしピックを回転させてください。先端に向かってテーパー上にピックを薄くしていく形は弾くときに持ちやすいです。
- ※3 ピックエッジの丸みは指の腹の部分の弾力を使ってすると自然な形に仕上がります。
- 最初からむやみに薄く作るのではなく、象牙の品質・質感を知るためにも厚みに変化をもたせたタイプを数種類作成することをお勧めします。
- 注意事項
- 耐水ペーパーは細かな番手も多く、水研ぎする方法もありますが、反ることもあります。作業はできるだけ短時間で終わらせて、濡れたピックは乾いた布でよく拭いて陰干しをしてください。
- サンダー・バフがけ他、電動工具を使うこともできますが、熱で白く焼けると劣化します。作業の際は50度以上の摩擦熱が加わらないように注意してください。